『中世の時代、主要な陸の交通手段は、馬でした。
より遠くの国まで、よりたくさんの物を運んだり、持ち帰ることが求められていたのです。
その為には、言わば「馬の靴」である『馬蹄』を、
移動した距離に合わせて取り替えなければなりませんでした。
しかしながら、予備の『馬蹄』をたくさん持っていくわけにもいかず、
また、都合よく馬具屋に出くわす事は稀だった為、
どうしても、旅の途中で何とかして手に入れる必要性があったのです。
そこで、困った旅人は、農家や商家や一般家庭を訪ね、
「馬蹄を譲って欲しい」と頼み、その対価として、お金や物を渡していました。
そうなると、旅人からの金品が欲しい家庭は、
家の玄関や軒先に、『馬蹄』を掲げ、その物々交換に応じたのでした。
そうこうする内に、「馬蹄を掲げると、人や物が集まって来て、幸せになる」という話が、
人々の間に広まって、現在の「幸運のお守りとしての『馬蹄』」の考え方が誕生したようです。